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理事エッセイ
2014年10月 「有限の時間を無限に使う」 理事 山口治彦 アマノ株式会社 代表取締役専務

 時間はどんな人にでも無償で与えられている資産です。しかしながら時間は無限にあるわけではなく、一人の人間に与えられている時間は有限です。80歳まで生きるとして70万時間、会社で40年間働くとして35万時間、そのうち労働時間は12万時間程度となります。この限られた時間を如何に使うかによりかけがえのない楽しみを見つけたり、生活を豊かにしたり、大きな仕事を成し遂げたりします。

労働時間をマネジメントする
 弊社は創業者が国産初のタイムレコーダーを開発し、事業化して以来80有余年、一貫して時間、特に労働時間をマネジメントする仕組みに取り組んできました。
 労働時間管理は時代とともに考え方が大きく変わってきています。昭和の時代には工場労働者が対象で遅刻や早退、残業計算といった給与計算のための元データ作りが主体でした。「勤怠管理」と呼ばれ、従業員の怠業を規制するイメージにより人間性重視を主張する一部の人たちから不要論が出た時期もありましたが、正確な労働時間管理を求める人事部門からの需要はまったく落ちませんでした。
 1990年代になると産業構造が変化し、海外に移転する製造業に代わってサービス産業の従事者が拡大してきました。サービス産業は営業時間が長いのでどうしてもシフト勤務になります。労働時間管理の考え方も実働時間計算、勤務シフトマネジメント、計画休暇取得といった従業員個別の時間管理が要求されてきました。
 2000年代になると賃金不払い残業や長時間労働抑止の観点により、厚生労働省から「労働時間適正把握」の通達が出され、全国各地の労基署が調査・指導に入ったため、企業だけでなく官公庁においても労働時間管理のシステムが導入されるようになってきています。

時間あたりの生産性を上げる
 昨今、ホワイトカラーの労働生産性向上が大きく叫ばれています。欧米に比べ日本の低い生産性が指摘され、ホワイトカラーエグゼンプションの論議とともに仕事を働いた時間ではなく、成果で評価する考え方が主張されています。ホワイトカラーエグゼンプションは現時点では高度な専門職層に限定されていますが、やがて一般の社員層にも適用されていくかもしれません。
 求められているのは時間当たりの生産性です。分母が時間であるので労働時間を正確に算出する仕組みは今後もなくなりません。

長時間労働とストレス
 今年6月には労働安全衛生法が改正され、社員へのストレスチェック義務化などの制度が施行されています。最近の世代はストレスに対する耐性が低く、特に長時間労働と精神障害との相関はますます高くなってきています。該当者への適切な対応とともに長時間労働自体を行わせないことが必要です。

女性管理職と労働時間
 最後に、今、経営の大きな課題として「女性管理職の形成」があります。政府は2020年までに女性管理職比率を30%まで上げるよう求めていますが、多くの企業において非常に難しい課題となっています。
 育児又は介護といった家事と仕事を両立し、かつ管理職として部下をマネジメントするとしたらとても現在のような残業を前提とした勤務体制では女性管理職は育ちません。これまでのような意欲のある先進的な女性キャリアではなく、ごく普通の女性社員が管理職として要所に配置されるようになるためには、会社全体で定時時間内に業務終了する体制を作っていくようになります。そのためにも「働き方」や「時間の使い方」にさらなる工夫をしていかなくてはなりません。
 この問題は単に女性の問題ではなく、家事を夫婦で分担していくのが当たり前になると必ず男性の問題ともなってきます。従って全社の経営課題と捉えていくことになります。個人的には家庭と仕事の両立に疲れた共働き夫婦は職業能力の高いどちらか一方が働き、もう一方は家庭に入る(妻が働き、夫が家庭を守るような)時代も来るかもしれないと思っていますが。

新世代ワークスタイル実践プロジェクト委員会
 JBMIAではこの秋から新世代ワークスタイル実践プロジェクト委員会が発足しました。この委員会は日本企業が世界に負けない生産性/創造性を実現するためのワークスタイル変革の提言を目的としています。こうした提言や実践活動がオフィスワーカーの労働生産性を上げ、一人ひとりが生き生きと働き、日本企業がさらに世界の中で輝くことを期待していきたいと思います。
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